クロケット&ジョーンズ名作ストレートチップ「オードリー物語」

クロケット&ジョーンズ(Crockett&Jones)が誇るイギリスを代表する名作ストレートチップ「オードリー(AUDLEY)」の魅力

140年以上に及ぶクロケット&ジョーンズの歴史で「オードリー」は、最も有名なストレートチップ(キャップトゥ)と言っても過言ではない傑作モデルでしょう。厳選された高級素材を使用していることに加え、ハンドグレードコレクションならではの拘りぬいた仕上げなど、他の内羽根ストレートチップとは、ひと味もふた味も異なる存在感を放ちます。時代に左右されないシルエットも秀逸です。今回は、クロケット&ジョーンズの名作「オードリー」の魅力をご紹介します。

非常に多くのラスト(木型)を保有することで知られる英国の代表的シューズブランド「クロケット&ジョーンズ」

クロケット&ジョーンズは、英国を代表する革靴ブランドです。英国靴生産の中心地であるノーサンプトンで、1879年に義理の兄弟であるチャールズ・ジョーンズ氏とジェームズ・クロケット氏によって創業されました。OEM生産を数多く手掛け、様々な一流ブランドに向けて高品質な靴を納めていました。また世界でも有数の豊富な木型を保有するメーカーとして知られており、多彩なバリエーションの靴を生産することを可能としています。そして、近年はシューズブランドとしてオリジナルの革靴を製造する一方で、セレクトショップや百貨店などの別注モデルの生産にも力を入れています。色々なオーダーに対応する柔軟性、それを可能とする生産能力の高さがクロケット&ジョーンズの強みでしょう。

革靴業界の転換期に誕生し、大きな影響を与えたラスト337

画像はイメージです

ラスト337は、1997年クロケット&ジョーンズ・パリ店オープン後の2001年に誕生しました。モダンでエスプリの利いたソフトスクエアのシルエットは、クラシカルなラウンドトゥが全盛だった当時、大きな話題を呼びました。

革靴業界の転換期となる2000年代初頭、クロケット&ジョーンズ初の海外出店と、ラスト337の誕生は日本市場にも絶大なインパクトを与えたのです。

クロケット&ジョーンズの価値を高めたハンドグレードコレクション

高級シューズメーカーのジョンロブの既成ラインのOEM生産を請け負っていたクロケット&ジョーンズ。ジョンロブの既成ライン生産で培ったノウハウを生かし、自社の最高級ラインであるハンドグレードコレクションをリリースしたのもこの頃です。そしてハンドグレードコレクションやラスト337の誕生が、クロケット&ジョーンズの価値を更に高め、世界中で愛されるブランドへと成長させたのです。

イギリス靴を代表する名品ストレートチップ「オードリー」の誕生

「オードリー」は、クロケット&ジョーンズが手がける、ストレートチップです。2002年に登場して以降、ブランドを代表する1足としての地位を確立しています。フランスのエスプリが利いた、ラスト337による洗練されたセミスクエアのシルエットが人気の大きな理由です。流麗なシルエットと無駄をそぎ落としたミニマルなデザイン。さらに、選び抜かれた最高級の素材とクロケット&ジョーンズの技術力が合わさり、最高の1足が生み出されました。

実はラスト337が登場した当初、ストレートチップのデザインがなかったため、弊社のリクエストによって誕生したモデルが「オードリー」なのです。

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クロケット&ジョーンズの上級ラインであるハンドグレードコレクション

クロケット&ジョーンズは、スタンダードラインの「メインコレクション」と上級ラインの「ハンドグレードコレクション」という2つのコレクションがあります。「オードリー」は、ハンドグレードコレクションのモデルです。メインコレクションでも上質な素材を使用しておりますが、ハンドグレードコレクションでは更に上質な素材を使用し、細部にまでこだわりが込められています。アッパー素材はもちろん、アウトソールやライニングの素材に至るまで最高品質のレザーを使用。メインコレクションには見られないこだわりの仕様もハンドグレードコレクションの魅力です。ハンドグレードの言葉が表すとおり、手作業による仕上げが随所に施されているため、その靴から手の温もりを感じます。

最高級カーフを採用したハンドグレードコレクションのアッパー素材

ハンドグレードコレクションの優れている点としてまず挙げられるのがその最高品質のアッパー素材です。クロケット&ジョーンズでは、ヨーロッパの上質な革のみを複数のタナリー(革の製造工場)から仕入れて使用しています。

《靴の価値を高める最上級のボックスカーフ(Box Calf)》

あまり知られていないことですが、ブラックカーフに関しては、ハンドグレードコレクション専用の素材を仕入れているわけではないのです。大量に仕入れた革の中から、より品質の高いものを厳選し、ハンドグレードコレクションに使用しているのです。こうすることで上質な革を使用しながらコストを抑えることに繋がるのです。キメの細かいボックスカーフは、極上の艶を生み出します。革を長持ちさせる“丈夫さ”と柔らかな履き心地を生む“しなやかさ”と言う、相反する特徴を兼ね備えた素材こそ上質の証です。

《1足1足手作業で仕上げられた極上のアンティークカーフ(ANTIQUE CALF)》

ブラウンのアンティークカーフは、革の特徴を最大限に引き出すためにアニリン染色されており、各ペアはクロケット&ジョーンズの工場で手作業により仕上げられています。素仕上げの革を使用し、手作業によりベースカラーの色付けをして、さらにアンティークフィニッシュを施す。そのため、透き通る様な透明感と深みのある風合いが生まれるのです。しかし素仕上げの革は、傷や血管の筋などが目立つため、より上質な革を仕入れているのです。

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ブラックカーフ、アンティークカーフ共に隠されたこだわりが詰め込まれており、そのこだわりが靴の価値を高めるのです。

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耐久性があり美しい最高級レザーソール ~オークバークソール~

「ハンドグレードコレクション」の靴底には、オークバークソールが採用されています。オークバークソールとは、ウィスキーの樽などにも使用される植物の樫(Oak)を用いて鞣したソールのことです。一般的な素材よりも熟成期間が長く、手間暇をかけて丁寧に鞣すことで革の繊維が密に締まり、耐久性が高まります。さらにクッション性に優れていることもオークバークレザーの魅力です。アスファルトなどの硬い路面で歩行したとき、歴然とした差を感じていただけることでしょう。

《こだわりのヒドゥンチャネル仕上げと半カラス仕上げ》

またメインコレクションの“オープンチャネル”仕上げと異なり、アウトソールの縫い目を隠す“ヒドゥンチャネル”仕上げを採用しています。さらに、ブラックとブラウンの2トーンに塗り分けられた半カラス仕上げを採用しているのも特徴です。職人の手作業で美しく仕上げられたソールは、歩行時や足を組んだほんの一瞬にこだわりをアピールすることができます。

アッパーカラーがブラウンのモデルは、アッパーカラーに合わせたブラウンの全カラス仕上げになっています。元々の素材の色味を生かした温もりを感じる風合いです。

足当たりの心地よさを高める極上のライニング素材

「ハンドグレードコレクション」は、足に触れる内部のレザーにも妥協を許しません。足当たりのよさにこだわり、靴前方部分内側には柔らかいヌメ革を使用して、極上の履き心地を作り出しているのです。さらにしっかりとしたサポートが必要な踵周りには、ハリのあるアッパーと同色の素材を使用しています。こうすることで極上の履き心地と高級感を生み出しているのです。

またメインコレクションではハーフソック(半敷き)を使用しているのに対し、ハンドグレードコレクションではフルソックのインソールを採用しています。フルソックで仕立てられた「オードリー」はライニングと相まって、履く前から隙のない佇まいなのです。ソックシートのブランドロゴは、プリントではなく1930年代のロゴが刻印されているのもハンドグレードコレクションの特徴です。

2つの代表的なオードリー オードリ(ラスト337)とオードリー3(ラスト367)

トレーディングポストでは様々な足形に対応できるよう、2つの異なる「オードリー」をご用意しています。日本人の足と言っても一概に甲高・幅広とは言い切れません。生活様式や食生活、移動手段等の変化により足形も大きく変わっております。そこで私たちは様々な方に「オードリー」を履いていただくために2種類のラストをご用意しているのです。

《細めの足におすすめ 全体のフィット感が良いラスト337のDウィズモデル》

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「オードリー」の基本となるラスト337は、EウィズとDウィズが存在しています。トレーディングポストでは、細めの木型であるDウィズのモデルを展開しています。しかしDウィズと言っても極端に細いわけではないので、比較的万人受けをするバランスです。全体的に足が細い方や標準のEウィズだと少し緩い方には特におすすめです。シルエットがシャープでエレガントな心象になるため、足元をスッキリ見せたい方にも好まれています。

▼オードリーDウィズの商品ページはこちら▼

《標準的な足におすすめ ラスト337を改良したラスト367》

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トレーディングポストでは、「オードリー」を取り扱い始めた当初、ラスト337のEウィズを展開していました。しかしEウィズはフィット感がやや甘いこともあり、現在取り扱っているDウィズに切り替えた経緯があります。日本人は甲周りから踵にかけてのボリュームがないため、ヨーロッパでは標準的なEウィズだと相性のよくない人が多かったのです。そこで弊社のリクエストにより開発されたラストが「オードリー3」で使用されるラスト367です。ラスト337のEウィズをベースに日本人の足形によりフィットするようヒールカップを小ぶりにし、ウエストラインを絞った形状になっています。ボールジョイント部はゆとりを持たせながら、土踏まずや踵のホールド感を高めているため、エレガントなルックスと快適な履き心地を両立しています。

ラスト367は修正に修正を重ね、完成までに2年の期間を要しました。ジョナサン・ジョーンズ社長や当時のマネージャーであったピーター氏など、大勢の協力があり完成したラスト。私たちの想いが詰まったラストなのです。

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《ラスト367を使用したオードリー3のサイズ感は?》

これまでフィット感を優先しサイズを下げて履いていた方は、適正サイズでフィット感を得る事が可能となりました。ラスト337のDウィズでは全体的にタイト、しかしサイズ上げると緩いという方はラスト367との相性が良いかもしれません。

《2つのオードリー シルエットにも違いがあります》

左がオードリー3 右がオードリーDウィズ

2つの「オードリー」を並べてみると、ラスト337 のDウィズは、全体的にスリムでエレガントな印象です。ラスト367もオリジナルのラスト337を継承しているため、クラシックなラウンドトゥに比べると非常にモダンな印象です。サイズ感が異なると言いましたが、実際にはどちらのラストでも履けてしまうというケースが多いため、好みのシルエットで選んでいただいても良いかもしれません。

豊富なサイズレンジもオードリーの魅力。最小5.0(約24㎝)~最長11.0(約29㎝)まで揃えています。

「オードリー」と「オードリー3」は豊富なサイズレンジも魅力です。日本では、10.0や10.5でも珍しいと思いますが、トレーディングポストでは、最小5.0~最大11.0までのサイズをご用意しています。足の大きい方にも安心してお選びいただけます。

*ブラックカーフのみとなります。

*店舗や時期により在庫状況がことなりますので店舗へお問い合わせください。

実は、クロケット&ジョーンズ「オードリー」は異なるラストで5種類のモデルが存在します

これまでに「オードリー」はラスト違いで5種類(ウィズ違いも含めると6種類)作られました。ほとんど見る機会がない「オードリー2」は、ややポインテッドなラウンドトゥの350というラストを使用したモデルです。ラスト369を使った「オードリー4」もレアなモデル。337と比べるとエッジの利いたスクエアトゥは、シャープでキレのいいシルエットとなっています。そして伊勢丹新宿本店MEN’S館が別注した「オードリー5」もマニアック。ロングノーズのスクエアトゥラスト373を使用した1足で、極めて珍しい「オードリー」でしょう。

フォーマル度の高いスタイルに合わせると最大の魅力を発揮します

「オードリー」が際立つのは、スーツスタイルでコーディネートした時でしょう。また悪目立ちすることが一切ない上品なスタイリングは、フォーマルシーンやここ一番のビジネスシーンでも頼もしい1足となります。その端正なルックスは、他のストレートチップと一線を画し、スーツスタイルの足元に気品を与えます。冠婚葬祭、大事な会議や商談時に、ぜひ履いていただきたい逸品です。

ビジネススーツをワンランク上へ引き上げます

普段のビジネススーツをワンランク上の印象へ引き上げてくれます。何の変哲もないビジネススーツであっても「オードリー」の魔法にかかればエレガントなスタイルに早変わり。靴は消耗品と捉える方も多いですが、上質な革靴は日常を豊かなものに変えてくれます。これぞ「オードリー」の成せる業。

コーディネートに便利 汎用性の高さもオードリーの魅力の一つ

クラシカルなストレートチップは、ジャケットスタイルでコーディネートすると足元が重たい印象になりますが、モダンな印象の「オードリー」なら、ジャケットスタイルにもおすすめです。スマートなシルエットのため、グレーのスラックスに合わせても重たい印象にならずスタイリッシュ。シンプルにスーツで合わせれば?いやいや、ジャケットスタイルでも履きたくなるのです・・・。

クロケット&ジョーンズの「オードリー」は、修理可能なグッドイヤーウェルト製法で作られています

「オードリー」は多くの工程を必要とするグッドイヤーウェルト製法で作られています。履き込むほど中物のコルクが沈み、足にどんどん馴染んでいきます。グッドイヤーウェルト製法特有の履いたときに感じる重みは、中にコルクを敷き詰めたしっかりとした作りによるもの。厚みのあるソールはクッション性に優れ、長時間歩いてみるとその履き心地の良さを実感できるのです。もちろんグッドイヤーウェルト製法はソールの張り替えなど修理をすることができます。足型に馴染んだ革靴を、修理しながら長く愛用してください。

一生物として大切に愛用したい方にこそおすすめできる至高のストレートチップ

履物である靴を「一生物」と言ってしまうのは少々語弊があるかもしれませんが、一生履きたいと思っていただける方におすすめしたい1足です。私は始めて手に入れた「オードリー」を約15年愛用しています。初めての海外出張でクロケット&ジョーンズ社に訪問したときにも履いていきました。結婚式や子供の入学式に卒業式、もちろん仕事でも着用しています。15年履いても飽きがこないルックスや履き心地の良さにクロケット&ジョーンズの物づくりに対するこだわりを感じます。まだ15年しか履いていませんが、私の一生の相棒となってくれることでしょう。